どうしても国産の外付けSSDにしたい話【TESLA】

こんにちは、ヤスヒラです。しがない新卒会社員です。自己紹介、以上。

今回、ICチップやフラッシュメモリのメーカーにこだわってTESLA Model3用のUSBストレージを選びました。車はアメリカ製だからせめて外付けSSDは国内産がいいというだけのわがまま。この記事を読んだらあなたも半導体マスター。知らんけど。

TESLA Model3に取り付ける USBTypeC接続の外付けSSD

背景-セントリーモードを使いたい

🚗Teslaにはとても優れた機能があり、車に近づく不審者を車載のカメラで録画してくれる「セントリーモード」があります。これがきっかけで、車にいたずらした犯人を見つけたという事例も。しかし、使うためにはUSBの外付けメディアが必要です。TESLA DashCam用のストレージとしては「Samsung T5 SSD」が人気のようですね。

Samsungはとても優秀ですので、国産に拘らない方で、質をお求めの方にとてもお勧めできます。メーカーの中では珍しく、SSDにつかわれるほぼすべてのICチップをを自社で内製でき、かつ最終製品の外付SSDまで自社製造をしているすごい企業です。半導体メーカーの中では売上高第2位。SSD部門ではダントツの1位です。TAKAさんはこちらを使っていらっしゃるようですね。

このオタクに付き合いきれない方は、耐久性や信頼性の面でSamsungの外付けSSDを購入するのが良いかと思います。しかし、王道があるならば私はあえてマイナーを行きたい人なので、下記長いですがお付き合い頂ければ幸いです。

最適なストレージを選ぶ-SSDがおすすめ

📷一応おさらいをしておきましょう。セントリーモードで録画に必要な「外部記憶媒体」には大きく3種類あります。また、記憶媒体種別ごとに、その記憶媒体の製造主要メーカーも記載しました。(ELECOMやバッファローなど日本でメジャーなメーカーは挙げられていません。内部の記憶素子やHDD自体の製造はしていないからです。)

  • USBメモリ(フラッシュメモリ)
    • ○:コンパクト 容量当たりが安い
    • ×:大容量は高い 耐久性に難あり(データ消失リスクが高い) 256GB以上だと選択の幅がない
    • 中身の記憶用ICチップ(以下,NAND)はSKHynix, Micron, Toshiba, Intelなどが多いようです。通常、メーカーは中に使われているチップベンダーを明らかにはしませんので、外身を見ただけでは中身は選べませんね。
  • HDD(ハードディスク)
    • ○:長時間通電していなくてもデータは失われることがない
    • ×:でかい 衝撃に弱い 動作音がうるさい (NANDフラッシュと比較して)書き込み読み込みが遅い
    • WeaternDigital(以下WD), Seagate, 東芝, Samsungがあります。HDDの製造は難しいので、店頭のHDDを取ったら99%は上記メーカーのうちどれかです。Buffaloの外付HDDやMacに入っているHDDなんかも蓋を開ければ上記メーカーのものです。
  • SSD(ソリッドステートドライブ)
    • ○:物理的衝撃に強い USBメモリほどではないがコンパクト 高速な読み書き
    • ×:容量当たりがとても高い
    • NANDのメーカーとして、Intel, Micron, Samsung, WD(=Sandisk=東芝)があります。TranscendやKingSton,SPは前述のベンダーからNANDの提供を受けているので、厳密には”NANDメーカー”ではありません。SKHynixもSSDの製造はしていますが、組み込み品として流通しているようで、Amazonなどでは新品が手に入りません。LITEON率いるPlextorブランドのSSDは入手できますが、昔から東芝からのチップ供給を受けてはいるものの直近の情報がないのでここでは考えないことにします。

さて、前置きが長くなりましたが、お金が許すのであれば「SSD」をお勧めします。

USBメモリとの違い:「キャッシュ」によって性能・安定性を高めている

SSDには「キャッシュ」というチップが搭載されており、これにより①耐久性(長い時間同じメモリーを使い続けられる)と②書き込み速度の安定度合いが大きく向上しています。USBやマイクロSDよりも、はるかに“安全”なデバイスなのです。※注意:廉価モデルのSSDにおいては、キャッシュを搭載していないものも存在します。

USBがいきなり読み込めなくなった!や、ある日MicroSDを刺してみたらデータが壊れていた…なんて経験、ありませんでしたか?優秀なSSDは、そうした危機から今最も遠いデバイスといっても過言ではありません。

単なるカー用品ではなく、裁判での証拠としても活用できる大事なデータを記録する物ですから、いきなりのデータ消失や「記録されてない!」という事態は避けたい。そんなわけで、今回は安心なSSDを買うこととし、必然的にその記憶媒体のチップはIntel, Micron, Samsung, WD(=Sandisk=東芝)となりますので、この中から国産のものを探していきましょう。

「国産」を求めて

ではどのようにして「日本製」のSSDを見つけるのか?

『東芝は日本のメーカーでは?』そうですね、そうなんですが、 東芝のSSD(NAND)はもうコンシューマ向けには販売されていません… 。

前述で疑問に思われた方も多いかもしれませんが、 WD(=Sandisk=東芝)と書いているのには訳があります。実はWD, Sandiskや東芝向けのNANDメモリ…の元となるシリコンウエハーはすべて三重県四日市市で作られています。現キオクシア(旧東芝メモリ)の四日市工場です。最近ボヤさわぎがあったことでもニュースになったりしました。そんなSandiskやWesternDigital 通称WDの製品でも日本のNANDが使われています。なので今回は三重県で作られたそのチップが使用されているSSDを便宜上ここでは国産SSDと呼びます。厳密には日本製と言っていいのかは不明です。なぜなら最終加工は中国や台湾であり、チップ表面にも「(Made in) China」「Taiwan」の刻印があるからです。ただ、四日市で加工をされた日本技術の賜物ですから、本記事では自信を持って日本製と呼ぶことにします。

回りくどいようですが、この三重県の半導体にデータを書き込みたいのであれば、「WD」「Sandisk」「TOSHIBA」の製品を買えばいいわけです。下記オンラインショップで買えます。しかし東芝のSSDはもうコンシューマ向けには販売されていません…

https://shop.westerndigital.com/ja-jp/c/external-storage.solid_state_drive

見た目が好みでないので、自作する

しかしなんだかピンとくるものがありません。中身を求めておきながら見た目にもこだわるわがまま具合。もちろん性能はいいんでしょうが、せっかくですし高級感があるものが欲しいですよね。なんというかこう、スポーティーなものではなくシックなものがいい。

こだわりの強い人間にありがちな思考ですが、気にいるものがないなら「自分で作れば良いじゃない」と考えたわけです。中身と外身…内臓SSDと外付け用ケースを選んで買ってきて、組み立てるのです。なに、難しい事はありません、ドライバー1本でできます。今回の場合家にドライバーがなくてもできました。

ガワと中身を選ぶ

中身となる内臓SSDには大きさが2種類、「M.2 SSD」と「2.5inch SSD」があります。M.2のほうがコンパクトです。さらにM.2の中にも「NVMe(PCIE)」と「SATA」があります。M.2 SATA SSDにはSATAに対応したケースを、同じく M.2 SATA SSDにはNVMeに対応したものを買う必要があります。

2.5インチのものだと少々大きいので、M.2にします。また、NVMeは速度が速い代わりに発熱が高いというデメリットがあるので、「M.2 SATA」で決まりです。

いろいろ探して、今回私が買ったのはこちらです。(Amazonリンクが開きます)

中身が500GBで日本製(重要)なM.2 SSDと、フルアルミ削り出しのM.2 SATA SSDケースです。SilverStone(シルバーストーン)というPC周辺機器メーカーが製造したものです。Amazonで探すと、怪しい日本語の商品もあったりしますが、こちらはその点で安心ですね。

組み立てる

届きました。パッケージが非常にコンパクトで可愛らしい。

中を開けると、マニュアル、本体、持ち運び用の袋、USB TypeC to USB TypeCのケーブル、ネジキット+ドライバーが入っています。3000円と他のケースと比較して値段が張るせいか、付属品が豊富です。

ケースの中から基板を取り出します。そして、SSDを取り付け、ネジで締めます。

金色の土台をSSD側に取り付け、ネジを裏側から回して取り付けます。この基板を中にしまい、ねじ止めすれば完成です。とても簡単。

外観

マットな質感はさすがアルミ削り出しである

非常に高級感があり、また重みがあります。アルミは熱伝導率もそこそこですので、放熱効果も充分期待できます。USB TypeC接続ですので、Androidスマホの充電ケーブルで、PCに接続。ない場合には100均にも売っています。不安であればTwitterで私にお声掛けください!

SSDセットアップは後日

相当な分量になってしまったので、SSDをフォーマットし使えるようにする記事は後日あげることにします。すみません。

余談:USBメモリは信頼性が低い!?ものもある

USBメモリの価格は昨今大変お手頃な価格になっていますが、品質を重視するならば、どのメーカーを買うのかよく選んだ方が良いかと思います。

Intel, Micron, Samsung, WD(=Sandisk=東芝)など、自社に半導体工場のあるメーカーは自社チップを使えば良いですよね。しかし、それ以外のメーカーは、上記ベンダーなどからNANDを購入と組み付けをし、最終製品として出荷しています。半導体であるNANDの製造には莫大なコストがかかるため、内製できないがゆえ、前述のベンダーからチップを「お裾分け」をしてもらう必要があります。

牛肉のランク同様、半導体にもランクがあり、テスト時の優秀度合いによって高級焼肉店向けになるか大衆焼肉店で焼かれるか決まります。半導体の世界でも「よりすぐり」行われているのです。速度が早く、発熱の少ないチップが優秀で、こうしたチップはNVMe SSDに使用されます。そこそこの容量にはそこそこの品質のものを。ただその一方で、売り物にならない粗悪品がどうしても生まれてしまいます。

その粗悪品がきちんと処分されず、USBメモリとして「生まれ変わっている」ことがあるようで、現にこういうことが起きています。物好きな人が中身をばらしてみると、このようになっていたり。

「RM刻印のゴミチップ」の意味ですが、RMとは「リマーク」のことで、NANDの表面だけを削って製造メーカーの刻印を消し、新たに別のロゴや数字を入れることで、べつのものに見せることです。今回、”捨てられたごみ”を再生させるためにこのようなことがおこっています。検査で落とされ、そしてすてられるような品質のNANDにデータを保管したいですか?私はしたくない。やはり、SSDの中身は自分で見て決めるに限ります。

お付き合いいただきありがとうございました

この記事についてツッコミのある方、恐れ入りますが私のTwitterまでリプライ頂ければと思います。ではでは。 https://twitter.com/yasuhira720

あわせて読みたい